内田流短杖術

 内田流短杖術は、黒田藩神道流剣術と神道夢想流杖術の免許皆伝者であった黒田藩士内田良五郎が、神道流と神道夢想流の理合を基にして考案した、三尺の短杖による護身武術である。

 

 流祖内田良五郎は、剣聖中山博道の杖術の師匠として有名な達人であるが、当流は明治時代に隆盛してから今日まで約150年の伝統がある。

 

 大政奉還後の明治9年、廃刀令が公布され、旧武士階級の多くは刀の代わりに護身の杖を携行する様になり、黒田藩の旧武士階級を中心に内田流短杖術が急速に普及していった。

 

 大正以降、内田流短杖術は、黒田藩神道夢想流杖術と共に軍や警察で学ばれ、警察においては、東京警視庁、大阪府警察、福岡県警察の機動隊を中心に採用されて、長きに渡って実戦的な杖術・短杖術が教授されてきた歴史がある。

 

 現在では、黒田藩神道夢想流杖術の併伝武術として全国に普及しており、東京伝、大阪伝、福岡伝と大きく3つの系統が存在している。

 

 免許制度は、道場により段位制で授与している会派もあるが、神道夢想流に準じて、奥入證、初目録、后目録、免許、免許皆傳の5段階制の伝位で伝わっている。

 

 当会においては、黒田藩関連武術として、現存している3系統全ての伝が伝承されており、一般的な十二箇条の形の他に、各系統に伝わっていた貴重な秘伝技法の形も今日まで大切に伝承されている。